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「バカ、早くしな!!」
毎日の事だが、親に起こされるというのはなかなか贅沢な話だと思う。
が、正直眠気には抗えない。
「んぅ……眠みぃ。
今日休めねぇかなぁ」
「はいはい。
そんなこと言う暇あったら、早くそれ食べちゃいなさい」
そんなやる気のない私を慣れた様子で、軽くあしらう母。16年の付き合いだ。それも自然の事だろう。
何処の家庭にもあるほほえましい朝だったと思う。
うぅ、と不気味な呻き声を漏らしながらミスドのドーナツを頬張る。チョコの味が舌を中心に広がり、糖分が脳に回り始める。
それを牛乳で流し込むと眠気醒ましになったので、急いでコンタクトを付けた。
時刻は7時20分。
もうトイレに行く暇はない。
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