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「…は…?」
「Aはね、花も動物も人間も分け隔てなく愛している。要するに種別など関係なかったのだ。だから、人間に恋する様に花を愛し、人間に恋する様に獣を愛し、人間に恋する様に人間を愛した。彼に姿など関係無かったのだよ。花も獣も人間も…」
僕は馬鹿みたいにぽかんと口を開けていた。
花も獣も人間とは違う、喋らない…
花に至っては動きもしないではないか。
僕は震えた…
「…狂ってる…」
そう呟いた僕に、彼は目を細め微笑み頷いた。
「そう。普通の人間はそう思うだろうね。けれどAはそれが普通だったのだ。普通の基準が僕らとは違う。だから、僕らには理解出来ないのだろう。Aという、世界と違う基準を持った男は、人間らしい女性という、世界の基準を持った女に額を撃たれて殺された。排除されたのだよ。」
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