35人が本棚に入れています
本棚に追加
「……」
――きっと、父さんは無理をしてる。辛くて泣いてばかりの母さんや子供の俺を安心させる為に…。
でも…、俺は何も分からない無知の子供なんかじゃない。
夜音の病名が訊いたことのない病名だとしても、それでもちゃんと分かってる。
一緒に医者の話を訊いたり、母さん達が俺に向かって『夜音には内緒』って言ったりしてるのでちゃんと理解できてる。
…夜音の病気は…、難病で回復する見込みも完治することもない重いものだって事くらい、分かる。
だから…どうか…、俺を子供扱いしないで…。
でなきゃあ…俺はあいつに…、夜音に想いを伝えられない…。
ただの『子供』で終わってしまう…。
自分が何も出来ない無知で弱い人間なんだって思ってしまう――…。
俺は父さんに気付かれないよう、小さく溜め息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!