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肌寒い時期になりつつあるこの頃。そろそろ文化祭の準備が忙しくなるというこの季節に、俺はいる。
というのも、俺は物理的には存在しない生き物。容姿は金髪に蒼い瞳という東洋系の顔立ちなのだが、俺は夜の中でしか生きられない。…一般的に云えば、人の生き血を喰らう“吸血鬼”。
「…匠」
俺は屋上にいる一人の生徒の名前を呼ぶ。
屋上に設置している小さなベンチに座る少し小柄な男子生徒。名を冬野匠。
生まれたときから心臓が弱く、入退院を繰り返しているという。初めて会った時、俺に声をかけてくれた一人だった。
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