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そこは花畑のような華やかな場所ではなかった｡
色は緑一色｡
生えているのは､三つ葉のみ｡
直ぐ近くには､高層ビルだって立ち並んでいる｡
そんな場所に､長い銀髪を辺りに散らしながら眠る少女の姿があった｡
濃紺に雪を彷彿させる淡い水色をした着物を着崩し､肩をわざと見えるように着ている｡
12月になったこの季節､寒さを感じないかのような風体だが､少女はたしかに胸を上下にさせ､呼吸させている｡
少女は不意に目を覚ます｡
｢…………もう､冬が来た｡｣
少女は､酷く大人びた口調で呟いた｡
クスリ｡
｢冬は…御別れの季節｡いた仕方の無い季節｡だから…｣
少女は､その美しい相貌に影を潜ませながらも緩やかに微笑みを浮かべた｡
｢我々"縁紡ぎ"が､その縁を紡ぎに行きましょう｡｣
少女は､そう呟きながらも長い銀髪を翻して高層ビルの立ち並ぶ街並みへと消えて行った｡
果たして､この少女が誰なのか…そんなことは俺に聞かれても判らない｡
ただ､それはとても可笑しな少女だったことだけは､俺にもわかった｡
それが､縁紡ぎの少女との最初の出会いだった｡
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