144人が本棚に入れています
本棚に追加
「………何でもないわよ………救急箱探してただけ………」
「ここにあるだろ…………」
……救急箱は私の足元にあった………
「……気付かなかった…………」
洋輔は私の顔を不思議そうに眺めていた。
「……おぃ美香……………それ中身見てないよな………」
いつも優しい眼をした洋輔が突然変わった。
私は暫く言葉を発することができなかった……
怖い……………と思うだけだった………
「見たのか…………」
私は精一杯首を横に振った。
洋輔は私のことをじっと睨んでいたが、すぐにいつもの顔に戻った。
「………ならいいんだ、ここは俺が片付けるから料理でもつくってくれ……」
…………はぁ……何か疲れた………
………洋輔にあんな顔があったなんて………
まだまだ私の知らない洋輔がいるのだとしった……
けど………あそこまで隠そうとする洋輔の手帳って一体………
見とけばよかった………………あ~、後悔した……
私はブツブツ言いながらキッチンに行って料理をつくり始めた。
…………見られてないよな…………
まぁ美香の言うことを信じるか………
仕事の内容が書いてあるだけだが…………
黒の手帳の中身を見られてなくてよかった………
黒の手帳の中身は絶対に美香には見せられない……………
見られたら俺らの関係は終わりになるだろう……
……………………やっと片付けが終わったぜ………
美香も料理をつくり終わったかな…………戻るか………
カチャ……ギィー………
……………美香!!
美香が倒れている………
何が起きたのか俺はわからず、倒れている美香をただ眺めていた…………
……………ってこんなことしている場合ではない。
病院だ……………
病院に行かなくては!
俺は美香を腕に抱えて自家用車に乗り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!