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………ふぅ、どうにか間に合ったな……… 俺が働いている会社は建築事務所で働いている。 特に働きてのなかった俺に高校時代の同期だった松城義継(まつじょう よしつぐ)が一緒に働かないかと声をかけてくれたのがきっかけだった。 義継は既に夢だった建築士になっていた。 俺はというと………朝から深夜までがむしゃらに働いていた……… 生き抜くために…………この世界で………… 俺は女に裏切られて多額の負債を背負っていた………… 今ではその借金も払い終わったが…………… あの時は誰も信用することができなかった けど義継に会って、この世はそんなに悪くない………そう思えた……… 「今日も遅刻ギリギリですね?洋輔さん?」 綺麗な黒の長髪をなびかせながら俺に話しかけてきたのは、元村奏(もとむら かえで)。この事務所の紅一点だ。何故かわからないがよく俺に話しかけている。 「今日もやることがいっぱいあるんで頑張ってくださいね。」 「あぁ、頑張らせてもらおうかな。奏も頑張れよ。か………大変だな……… そう呑気なことを考えながら、俺は事務所の扉を開けた。 「おぅ、洋輔!おはようさん!!」 「………お前のテンションにはついていけないぜ………」 無駄に高いテンションで俺に声をかけてきたのが義継だ。 まぁ俺に仕事を与えてくれたんだから文句は言えない。 「じゃあ今日はトイレ掃除、書類整理、その他もろもろ頼むな!」 ……………めんどいんだよなぁ………… ………まぁ今日も一日頑張るか………… 「あぁ、やらしてもらう…………」 「宜しく頼む!」 俺は一応事務所に着くまでスーツ着用が決められている。 だからまずスチール製の自分の机にスーツを畳んでから置くとトイレに向かった。  
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