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………ふぅ、トイレ掃除は終わったな………
トイレは男女兼用なので掃除はすぐ終わる。
だが、この事務所に客が訪れる前にはトイレ掃除をしなくてはならない。
何故かそういうところに義継はこだわるのだ。
…………こっちの身にもなってほしいものだ………
………文句は言えないが……………
俺は義継に言われて2級建築士の資格を取ることができたが、まだ1級建築士の試験まで時間がある。
ここで働けば現場実習になると言われて試験勉強もろくにせず頑張っているのだが………
もうちょっとましな仕事をやらしてほしい………
「なぁ洋輔、奏ちゃんって好きな奴いるのかなぁ?」
「………さぁ?本人に直接聞いてみれば?」
「………!!なっ、何言ってんだよ洋輔!!普段はそんなこと聞かないだろうが!!」
……義継の奴………奏のことが好きなんだな…………からかってやろ………
「普段じゃないからインパクトあるんじゃねぇか。告ってこいよ、お前らしくもねぇ………」
「…………だってなぁ………可愛くて…………頭もよくて………品がいいし…………あんないい娘いないって…………なぁ聞いてきてくれねぇか?頼む!!」
「聞いてきたら何をくれる?」
義継は右手の指を5本俺の目の前に出した。
「5万でどうだ!!」
………金かよ…………はぁ…………あっ、そうだ!
「一週間俺の言うことを聞くってのはどうだ?」
義継は真剣に考えている。
本当にこいつ馬鹿だと思う…………
「3日にまけてくれないか?」
俺の言うことを聞くことに対して異論はないのかよ………
「わかったよ、3日で許してやる。………じゃあまずこの事務所の掃除でもしてもらおうかな。」
「なっ、何言ってんだ!!まだ聞いてきてないだろ!!」
…………まだ奏は帰ってきてないみたいだな………
「今からなんだよ、文句言うならこのことはなかったことにするぜ。」
「………くそぉ~………」
俺らが言い争っている間に奏は外から帰ってきた。
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