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「何を話してるんですか?」 奏は手に缶コーヒーを持っていた。 「はぃ、二人とも。温かいコーヒーでも飲んで今日も頑張りましょうね。」 そういって奏はトイレに向かった。 多分化粧でもしなおすのだろう。 俺には理解できないが………… 義継が俺のことをつついてきた。 「早く聞いてこいよ!約束しただろ!」 「あぁ、わかったって……」 俺は一応ノックをしてからトイレに向かって声をかけた。 「奏?ちょっと聞きたいことがあるんだけど………」 「…………」 「入ってもいいかな?」 「………いいですよ。」 俺はトイレに入った。 やっぱり奏は小さな鏡の前でビューラーを使っていた。 「何ですか、話って?」 微笑みながら奏は振り向いた。 「奏って彼氏とかいんの?」 「………!!」 「いんのか?彼氏?」 「……ぃや、ぃませんけど…………」 「そうか…………わかった………ありがとな。」 俺はトイレから出ようとすると左腕を掴まれた。 奏に………… 奏の顔は真っ赤というよりも桜色になっていた。 「…………す……」 「………何?」 「私は…………洋輔さんのことが好きなんです!!」 「……!!」 なっ、なんだと。 潤んだ瞳で俺の顔を見ている。 嘘だろ…………… 「…………っていうことは美香さんと別れたんですか?」 「…………義継がお前の気持ちを知りたくて俺が聞いたんだ…………」 「………美香さんとはまだ別れてないんですね…………けど私は貴方を彼女から奪い取ってみせますから!!」 奏は急いで化粧道具を片付け、トイレから出て行った。 ……………どうすりゃいいんだ………… 俺は頭を押さえながらトイレから出た。  
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