144人が本棚に入れています
本棚に追加
義継が事務所の外に手招きで呼んでいる。
奏はいつも通り自分の椅子に座って書類整理をしている。
「奏、後で話し聞くから………」
事務所の扉を開けると腕をくんで立っている義継がいた。
「……んで、どうだった?」
期待してるみたいだな…………何て言ってやればいいのやら………
「彼氏はいないってさ…………俺はお前を応援してるから頑張れよ。」
「………?俺のことは何て言ってた?」
………そういや聞いてなかったな…………
「いい人だと思いますって言ってたぜ。」
「うっしゃ~、俺デート誘ってくるからここで待ってろ!!」
バタン……………
義継が奏をデートに誘ってるな………
缶コーヒーでも買ってくるか…………
俺は二人が話している間に事務所のビルの前にある自動販売機に向かった。
…………ガシャン………
今日みたいな寒い日に出歩く人はあまりいなかった。
犬を散歩させている女…………
物陰で缶ビールを飲む男…………
こんな寒い日によく外に出るもんだな……………
ま…………俺もだけど……………
本当に仕事って疲れるぜ…………
俺より大変な仕事をしてる奴らもいるだろうが…………
俺は美香と暮らすためだけに働いているがな…………
…………そろそろ終わったかな………
俺は事務所に戻ることにした。
「洋輔ぇ~、何処にいってたのかなぁ。」
やべっ………何か不機嫌そうだな…………断られたかな………
「悪ぃ、缶コーヒー飲んでた。」
「………お前さ………俺らに買ってきてやろうとかいう思いやりはないわけ?」
「いやぁ~、長くなるかと思ったからな。」
「ふん、まぁいいか………何と誘ったらOKサインが出たんだ!」
「…………え?」
「俺もびっくりしたがなぁ~、お前のお陰かもな!はっはっはっ……」
…………どういうことだ……………
最初のコメントを投稿しよう!