喧嘩

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好きです、貴方のことが好きです。 …だけど、あなたは私のことをどのように思っていますか? 「…美香、なぁ美香、俺の話聞いてんのか?」 「…ぇ?洋輔…ごめん、聞いてなかった。」 「何だよ、聞いとけよ…」 私は中森美香。このだらしない男、洋輔の彼女である。 私は洋輔と何度かいきつけの喫茶店で出会ううちに付き合うようになった。 その時の洋輔は、誠実で真面目そうな人に見えた。 が、公私混同はしないということが今の私にはわかる。 髪はボサボサで無精髭をはやし、寝巻き姿でソファの上で寝っころがっている。 私は何故この男を好きになってしまったのだろう。 確かに彼が仕事している姿はかっこいいと思う。 だけど…この男は憎めない。 「なぁ、美香。カラオケに行かない?」 …あぁ、そういえば洋輔は歌を歌うのが好きなのだ。私とどっちが好きなのだろうか… 「勝手に独りで歌いに行けば?」 私はそっけない態度で洋輔に言った。 洋輔は少しだけ眉を細め、ブツブツ呟いている。 「ならゲームでもしないか?」洋輔は私にそう言った。 この男は何を言っているのだろう。いつも私に挑んで負けてしまい、「ケチ、悪魔、初心者相手に本気出すな。」と私に罵声をあびせるくせに… ゲームなんて…絶対やるもんか! 「いや、私はやらない」 「何で~、今日はお前に勝とうと思ったのに。」 「私に文句ばっか言うじゃない!」 洋輔はにやけながら 「今日は文句なんか言わないからゲームやろうぜ!」 朝からそのテンションはやめて欲しい… それに… 「私はあんたの世話係じゃないの、勝手にカラオケでもゲームでもしてればいいじゃない!」 私がそう言うと一瞬その場は沈黙した。 だんだん洋輔の顔が赤く染まってきた。 「何だよ、そんなこと思ったことなんかねぇよ。あぁわかった、出かけてくる!」 バンッ 金属の扉が勢いよくしまった。 私はその扉をただ眺めていた。  
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