144人が本棚に入れています
本棚に追加
「洋輔、今日だぜ。今日奏ちゃんとのデート…………夢じゃねぇよな…………っ……やっぱ夢じゃねぇ!!」
義継は自分の頬をつねって夢と現実を判断していた。
朝っぱらからあいつのテンションについていけないので、俺は軽くスルーした。
「よかったな。」
「あぁ、信じられねぇよ!!ドッキリとかじゃねぇよな!!」
「誰がお前のためにそんなことすんだよ、楽しんできな。」
「おぅ、明日は二人で遊園地にでも行ってくるから一人で働いててくれよ!」
「あぁ、わかった。」
「今日の仕事が終わったらここの鍵渡すから。」
「わかったが、トイレ掃除行ってこいよ。」
「あぁ、わかったぜ。任せろ!!」
…………最初はいやいやでやっていた掃除も今となっては義継自身楽しみにしているようだ。
もしかしたらこのまま掃除することが習慣になってしまうかもしれない………
そうしたら…………だいぶサボれるな………
「洋輔さん、コーヒーどうぞ。」
奏がコーヒーを持ってきた。
あの日から特に変わった様子がない…………
…………何を考えているのだろうか?
変なことでも考えていないといいが…………
「…………今日の仕事も無事終わったな。」
「洋輔!!」
俺が振り向くと額に何か固い物がぶつかった。
「………っ。」
「鍵な、それ。」
足元に落ちた物を見ると、猫のキーホルダーがついた鍵があった。
「投げるなよ、痛てぇだろうが。」
「悪気はなかったんだって。」
義継………口元が笑ってるぜ…………
「じゃあ、後はよろしく!!」
「あぁ、お前も頑張れよ。」
最初のコメントを投稿しよう!