破綻

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もう奏も義継も帰ってしまった。俺も帰るか……… ガチャ………… 俺は事務所の鍵を閉めて、暗くなってきた外に出た。 まだ美香は家には帰っていないだろう……… あいつは今日からまた仕事だもんな……… …………寒っ…………こんなとこいたら風邪引いちまう………… 俺はいつも通り塾帰りの子供たちやサラリーマン、いちゃいちゃしているカップルなど比較的多くの人が乗っている電車に乗った。 朝は人が混む時間を避けている。まぁそれでも人は多いほうだが………… だから遅刻ぎりぎりで事務所に着くのだろう。 …………電車に乗ること30分………… 乗換えなくては……… いつもここで眠りそうになる………… 俺は瞼をスーツの袖で擦ると、黒の鞄を持って駅のホームに降りた。 電車を乗換えてから20分後…………… やっと家からの最寄り駅に着いた。 …………そこからさらに歩いて15分……… ガチャガチャ……… 部屋の中は真っ暗だった。 やっぱりまだ帰ってないか………… 昨日は仕事が終わって帰ってみると、玄関へ走って俺を迎えてくれた。 「何で起こしてくれなかったのよ、もぅ。」と言っていたが俺も起きたときやばかったんだって………… 美香の怒った顔も可愛かったなぁ…………たぶん俺………もうお前なしじゃ………生きてけねぇだろうな……… 昨日のことを思い出していると、頬を冷たい水滴が一筋流れた。 …………洋輔さん、奏は諦めませんよ……………美香先輩なんかに貴方を譲る気などこれっぽっちもありませんから…………… …………貴方は奏の元に来るのだから…………絶対………… ………美香先輩みたいな性悪女なんて捨てちゃえばいいのに……………きっと洋輔さんがあいつに脅されているんですよね………… ………私があいつを……………私と貴方の障害を…………消し去りますから…………それまで待っててくださいね………… 洋輔さん…………  
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