144人が本棚に入れています
本棚に追加
/470ページ
「ここって…………
ラーメン屋?」
「そうだけど何か?」
洋輔はにやけながらこちらを見ている。
けど恥ずかしがることもないのに…………
もう私だって25歳だし……
あ~、もう嫌になる。
今日やっと洋輔から「結婚しよう」という言葉が発せられることを期待してたのに………………
この重荷からはいつ解放されるのよ……………
"愛している"
ただこの言葉が言えない。
この気持ちをラーメンのスープと共に飲み干した。
貴方は何を望みますか?
貴方は私が何をすれば得られるのですか?
私は貴方のすべてを得るためなら手段を選びはしない………
だが、貴方のその心が傷つけないように気を付けながら……
貴方のすべてを得るためなら私はこの命も捧げよう…
貴方のために…………
私自身のためにも…………
俺に教えてくれ………
この場合
どうすればいいのか………
美香が酒で酔っている……
ザルだってのになのに…………
俺が心配かけちまったせいで……
「洋輔ぇ~、………」
…………何だ、寝言か…
「洋輔…、私は洋輔にょこちょ大好きなにょ…」
………………………
美香に言って欲しい言葉なのに………………
いきなり言われると恥ずかしかった………
俺の背に背負われる美香は静かに寝息をたてている…
やっと静かになった。
「美香…………………… 俺もお前のことを愛しているよ。」
「俺のもとから逃げないでくれ…………」
「俺は捨てられたくないんだ………………」
「……結婚しよう…………美香…………」
「……って聞いてないか」
ブロォォー
タクシーがやっと来た。
まず美香をタクシーに乗せて次に俺が乗った。
運転手は無口だった。
俺らに気をつかっているいるのか、それとも無関心なのかはわからない。
だが静かで月明かりの映える夜だったからこの空間が、この運転手がいなければもっといいが、幸せな時を過ごした………
ガチャ………
金属の扉を開けると部屋の中は外よりも暗かった。
もう寝るか…………
「おやすみ………」
最初のコメントを投稿しよう!