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『サボテン』
著:玉兎
文学・人文/全6頁
これはとても短いお話です。けれど、とてもたくさんのことを考えさせてくれるお話でもあります。
衝動というものは、一体どこから来て、どうやって収縮していくのか。これは自分の心のうちであっても非常に謎で、難解な命題です。
好きになること、嫌いになること。自分が何故、或る対象に対してそういう感情を抱くのか、言葉にして明確に説明できることって多くはないです。
私はたぶん、自分のことさえよく分かりません。
いつもと変わらぬ行動をして、温かいお風呂に入って、準備も整え、すわという段になって、偶然のように目に飛び込んできたもの。
まさか、それによって行き先を変えられようとは考えもしなかった行動の放棄、解放。収縮していく気持ち、心。
この作品に惹かれたのは、この短編の中に凝縮されているもの、よどみなく流れる言葉、手に取るようにつむいでいける気持ちの流れ。それが心地よくなめらかだったからだと思います。
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