愛しの王子様

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「でたよ…氷の王子様」 愛は、フッと鼻で笑った。 「格好良くて、モテるのに…女に異常に冷たい。噂では女嫌いときたもんだ」 そんな愛を見つめながら、夏美は小さく呟いた。 「…そんな事ないもん」 だって―… あの時 『大丈夫…?』 手を差し延べてくれたから。 …私は、覚えてる。 ねえ、侑君。 侑君は…? 愛は、夏美の頭を撫でた。 「…応援は出来ないけど、やるだけやってみたら?好きなんでしょ?」 「…好きって訳じゃなくて、ただ話してみたいだけ!」 「はぁ?」 愛は、眉をしかめた。 「興味があるだけなの!」 「意味不明…」 愛は、不機嫌そうに一人でブツブツと呟いていた。 もう少しで―… クリスマス。 あなたに出会った日。 どんな形でもいいから―… あなたと話してみたい。 夏美は、侑を見つめた。 「本当は、優しい人なのにな…」 まさか―… 本当にそんな日が来るなんて思ってなかった。 .
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