粉雪

4/6
前へ
/17ページ
次へ
「あぁ、わかったよ」 『そう、最初からしなければ‥ ‥え?』 あゆは、自分の言葉に 真人が同意したことに 戸惑いを隠せずにいた。 「もうあゆは 俺と別れたいんだろ? いいよ、今までずっと 別れたい、って言ってたのに 引き止めててごめんな」 『え‥そんなつもりじゃ‥』 あゆは、極度の意地っ張りでもあった。 いつも、どんなわがままを言っても 困ったような笑顔で 聞いてくれた真人。 何度酷い事を言って 別れようと伝えても いつも引き止めてくれた真人。 人の良い真人に甘えて いつもあぐらをかいていたあゆにとっては 適応する事の出来ない事態だった。 部屋の中に 二人の好きだった曲が繰り返し流れていた あゆは、 別れたくない とも言えずに ただ言葉を飲み込み 頷いて その場から離れるしかなかった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加