8月1日(金)【奈緒】

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    弥生 「彼氏ですぅ」 雅樹 「兄です。ちょっとおかしいんですよねこいつ」 弥生 「ああんっ!?」 頼むから話の腰を折るようなことしないでくれよ。 金髪男 「え…えー…」 ううむ…めちゃくちゃ怪しんでるぞこれ。 奈緒 「大変そうですね、お仕事」 雅樹 「あ?」 金髪男 「え? あ、は、はい! 夏休みだけあってか、親とはぐれちゃう子供さんが多くて…」 奈緒 「人、すごいですもんねぇ…。 手とか繋いでないとすぐに見失っちゃいますよねぇ」 金髪男 「そうですね。 子供さんも子供さんではしゃいじゃうから余計っすよ。怪我してくる子とかもたくさんいて…」 奈緒 「気をつけないと…。 見たところお若いですけど、アルバイトですか?」 金髪男 「ええ、あ、はい。 夏休みくらい働けって言われちゃって…それで先輩に紹介してもらったんすよ、このバイト」 奈緒 「あはは、だからなんだかぎこちない感じなんですね」 金髪男 「ははは…やっぱりわかっちゃいます? んー…やっぱり向いてないんすかねぇ」 奈緒 「そんなことないですよ! 優しい人なんだなっていうのが、すごく伝わってきますよ」 雅樹 「………」 弥生 「………」 あゆ 「………」 な、なんだこれは。 奈緒は楽しそうに何を話してやがる。 相手の男も鼻の下伸ばしてヘラヘラしやがって~…。 な、奈緒は俺の方が好きだもんね! 弥生 「なんかいい感じですねあの2人。 もうパトラなんかほっといて帰りましょうよ。今のパトラ、凄く…幸せそうですぅ…」 雅樹 「おまえは迎えに来るまでここで待ってないと」 弥生 「ああんっ!」 あみ 「………」 弥生 「……ていうか先輩。 さっきからいるこの子は誰の子なんですぅ?」 雅樹 「聞き方違くない? なんか違くない?」 弥生 「さっきから弥生とちょくちょく目が合うんですけど…ていうか、ずっと弥生を見てきますぅ」 雅樹 「んー?」 言われてみれば、確かにそうだな…。 口をぽかーんと開けて、弥生の顔を見たまま動かない。 雅樹 「あみ?」 弥生 「あみちゃんていうんですか。 あみちゃーん、弥生の顔になにかついてますかぁ?」 あみ 「あっ、う、ううん! お姉ちゃん、名前…やよいっていうの?」 弥生 「はい。山本弥生ですぅ。 弥生お姉ちゃんとでも呼んでください」 こいつって、誰に対しても敬語なんだな。 べつに悪いことではないが…ちょっと不自然。  
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