8月1日(金)【奈緒】

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    奈緒は、俺なんかにはもったいくらい良い女なんだ。 いつもいつも、俺より数百歩も先を進んでいて、俺が必死に大股で進もうが走ろうが全然追いつかなくって…。 だから俺はあの時、奈緒をあきらめたんだ。 そう。 奈緒は俺にはもったいない。 でもさ……。 まだチャンスはあるよな? 俺でも、必死に必死に頑張れば奈緒に追いつくことができるよな? それでもだめなら、今度は必死に必死に必死に頑張ればいい。 いつか絶対に……必ず奈緒に追いつけるはずだ。 そんな夢を見てもいいよな。 雅樹 「……はぁ」 夢でどうすんだよ…。 奈緒 「どうしたの?」 雅樹 「な、なんでもねぇ。 俺、ちょっと頑張ってみるわ」 奈緒 「なにを?」 雅樹 「秘密」 奈緒 「気持ち悪い」 雅樹 「………」 さっそく、好感度が下がってしまったかもしれない。 雅樹 「わはは」 ま、いいか。 奈緒 「急にどうしたの…」 雅樹 「秘密」 奈緒 「………」 俺は俺のやり方で、一つ一つ障害を乗り越えて行けばいい。 あみ 「あははは。 仲良し仲良し~」 でも今は、あみが最優先だ。 雅樹 「そうだな。 ありがとう、あみ」 あみ 「うんっ」 雅樹 「俺と奈緒はこれからもずっと仲良しだぞ」 あみ 「絶対、絶対だよ!」 雅樹 「おう!」 あみ 「お姉ちゃんも!」 奈緒 「え?」 あみ 「お兄ちゃんと、ずっとずっと仲良くしなきゃだめだからね!」 奈緒 「………うんっ、そうだよね。 これからもよろしくね、雅樹」 雅樹 「お…おう」 「あ゛ー!!!! 雅樹先輩とパトラが手を繋いでますぅ!!!」 雅樹 「うお!?」 奈緒 「へっ!?」 こ…この声は…。 弥生 「弥生がきつね先輩にパシリにされてる間に、抜け駆けですか」 奈緒 「や…弥生ちゃん…」 雅樹 「パシリにされてるんだ…」 弥生 「そうなんですよぅ! 喉が乾いたからジュースを買ってこいって…お金も渡さずに!」 奈緒 「ご、ごめんね?」 弥生 「それはきつね先輩のことで謝ってるんですか? それとも抜け駆けしてることに謝ってるんですか!? もし、後者と答えたのなら、 今から弥生とパトラのポジションをチェンジしますぅ! ジュースを買ってきて下さい!」 奈緒 「え~…っと…」 雅樹 「………」 困ってる困ってる…。 奈緒にとって弥生は、非常に絡みにくい相手なんだろうな。 雅樹 「ん?……待てよ弥生」 弥生 「はい! 弥生も好きです!」  
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