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奈緒は、俺なんかにはもったいくらい良い女なんだ。
いつもいつも、俺より数百歩も先を進んでいて、俺が必死に大股で進もうが走ろうが全然追いつかなくって…。
だから俺はあの時、奈緒をあきらめたんだ。
そう。
奈緒は俺にはもったいない。
でもさ……。
まだチャンスはあるよな?
俺でも、必死に必死に頑張れば奈緒に追いつくことができるよな?
それでもだめなら、今度は必死に必死に必死に頑張ればいい。
いつか絶対に……必ず奈緒に追いつけるはずだ。
そんな夢を見てもいいよな。
雅樹
「……はぁ」
夢でどうすんだよ…。
奈緒
「どうしたの?」
雅樹
「な、なんでもねぇ。
俺、ちょっと頑張ってみるわ」
奈緒
「なにを?」
雅樹
「秘密」
奈緒
「気持ち悪い」
雅樹
「………」
さっそく、好感度が下がってしまったかもしれない。
雅樹
「わはは」
ま、いいか。
奈緒
「急にどうしたの…」
雅樹
「秘密」
奈緒
「………」
俺は俺のやり方で、一つ一つ障害を乗り越えて行けばいい。
あみ
「あははは。
仲良し仲良し~」
でも今は、あみが最優先だ。
雅樹
「そうだな。
ありがとう、あみ」
あみ
「うんっ」
雅樹
「俺と奈緒はこれからもずっと仲良しだぞ」
あみ
「絶対、絶対だよ!」
雅樹
「おう!」
あみ
「お姉ちゃんも!」
奈緒
「え?」
あみ
「お兄ちゃんと、ずっとずっと仲良くしなきゃだめだからね!」
奈緒
「………うんっ、そうだよね。
これからもよろしくね、雅樹」
雅樹
「お…おう」
「あ゛ー!!!!
雅樹先輩とパトラが手を繋いでますぅ!!!」
雅樹
「うお!?」
奈緒
「へっ!?」
こ…この声は…。
弥生
「弥生がきつね先輩にパシリにされてる間に、抜け駆けですか」
奈緒
「や…弥生ちゃん…」
雅樹
「パシリにされてるんだ…」
弥生
「そうなんですよぅ!
喉が乾いたからジュースを買ってこいって…お金も渡さずに!」
奈緒
「ご、ごめんね?」
弥生
「それはきつね先輩のことで謝ってるんですか?
それとも抜け駆けしてることに謝ってるんですか!?
もし、後者と答えたのなら、
今から弥生とパトラのポジションをチェンジしますぅ!
ジュースを買ってきて下さい!」
奈緒
「え~…っと…」
雅樹
「………」
困ってる困ってる…。
奈緒にとって弥生は、非常に絡みにくい相手なんだろうな。
雅樹
「ん?……待てよ弥生」
弥生
「はい! 弥生も好きです!」
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