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雅樹
「な、奈緒さん!?
冗談だから…冗談だからぁ!」
このままじゃ俺の体が地面にめり込むぅ!
奈緒
「はぁ…はあ…うう~」
雅樹
「お、落ち着いてくれ…。
深呼吸だ深呼吸!
いいか? ひぃ、ひぃ、ふぅ。ひぃ…」
奈緒
「っ!!」
雅樹
「ひぃ!?」
目が本気だ!
これ以上はきっと奈緒のチョップで鉄が切れるようになってしまう。
だからやめておこう。
命は大切にしないとな。
雅樹
「ごめんなさい」
奈緒
「……もう」
「お、いたいた。
おーいキミキミ!」
雅樹
「ん?」
奈緒
「え?」
突然、話しかけてきた若い金髪の男。
雅樹
「………」
ん~…やっぱり奈緒の周りって、さすがというか…こういうの集まって来ちゃうんだよなぁ…。
雅樹
「おい」
ここは、俺が…
金髪男
「ダメだよ。
あんまりうろうろしちゃ。
ほら、キミの名前と、それとどこから来たのか、
ちゃんと教えてくれないとお父さんお母さん来ないよ?」
雅樹
「はい?」
弥生
「邪魔しないでください!
弥生は今、運命の人と再会したんですぅ!」
金髪男
「え?」
弥生
「人が何百人といるこの砂浜で、独りさまよい歩く弥生をこうして見つけてくれることができた…これは運命なんですぅ!」
金髪男
「え、ちょ…ええっ!?」
雅樹
「良かったな奈緒。
運命だってよ」
奈緒
「えへへ、そうかな?」
弥生
「ありえないです!!!」
奈緒
「そんな即答…」
弥生
「とりあえず、心配してくれてありがとうございます。でも、弥生は迷子なんかじゃないんです!」
雅樹
「あー…」
なるほどな…。
金髪男
「で、でも…」
つまりあれか。
この男の人は、この人が多い砂浜をうろちょろしている弥生を見て、迷子だと勘違いしてしまったわけか。
それで、弥生はここに連れてこられた…と。
きっとそういうわけだろう。
雅樹
「うむ…」
しかしまぁ…やっぱり弥生って誰が見ても年相応の大きさじゃなかったんだな。
再認識したわ。
雅樹
「すいません。ご迷惑をかけました。
こいつ、俺の妹です」
金髪男
「え…? そうなんですか?」
雅樹
「はい」
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