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「じゃあ、こちらに座って下さい」
安藤によって、女子高生は古ぼけたソファーに座った。
「それでは、今回の依頼について、お話を…」
斎藤は自分のデスクに座り、机の一番下の大きめの引き出しから大きな本を取り出してそれを手に取り、女子高生の反対側のソファーに座った。
本を半分より少し過ぎた所に指を差し込み開くと罫線やら枠やら以外何にも書かれていないページが現れた。
斎藤は万年筆を懐から取り出すと女子高生に質問を始めた。
「今から、いくつか質問します。
言えない事はムリに言わなくても結構です。」
「はい」
「お名前は?」
「廣田 美加子です」
「年齢は?」
「17です」
「依頼の内容は?」
「ある物を探して欲しいんです」
(なる程……)
「ある物とは?」
「………キーホルダーです。」
「キーホルダー?誰かに貰ったりしたのかい?」
「言えません…」
「見つけたら、どうするつもりかい?」
「言えません……」
(訳ありって、事か?)
「キーホルダーの特徴は?」
「言えません」
「言えないねぇ……」
「すいません、言わないようにしてるんです。
ただ、キーホルダーについて言えるのは……」
「言えるのは?」
「一億のキーホルダーです」
(こりゃまた凄い依頼だなぁ)
「何故、この依頼を?」
「…………言えません」
「分かりました、ありがとうございます」
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