VOICE『微微*』

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From:古泉一樹 Sub:今、なにしてますか? ―――――――――― こんばんは、キョンくん まだ起きていましたか? 僕のことを想いながらイヤらしいことに励んでいてくれたりしたら嬉しいんですけど 僕は今キョンくんの写真を眺めながら 俺は、そこまで読んで携帯を閉じた 続きを読む勇気はない 時刻は夜12時32分 なんなんだ、あいつは 迷惑極まりない その上、内容も反応に困る 最近俺は、SOS団の副団長…古泉にやたらと好かれている まぁ、もともとスキンシップの激しい奴だったが、ここ最近は本当に酷い 部室でふとももやらケツやらを触ったり、やたらと顔を近づけたり 俺にそっちの趣味はないと何度言っても、二人きりになると歯の浮くような台詞を吐いたり こんなセクハラまがいのメールもしょっちゅうで、俺の携帯の受信フォルダは古泉の名前一色だ そこまで考えたとき、俺の携帯が盛大に電子音を奏でた ディスプレイには『古泉一樹』の文字 俺は迷わず終話ボタンを押した すぐさま、再び鳴る電子音 今度はしばらく放置してみる コール音が5分続いたところで、俺はあいつのしつこさに負けて電話に出た 「…もしもし」 『あぁ、やっと出てくれたんですね』 嬉しそうな古泉の声 電話の向こうではいつもの胡散臭い笑顔を浮かべているに違いない 「なんの用だ」 『今日はキョンくんに言うの忘れていたと思いまして』 意味がわからない なにを言い忘れたんだ 「…なんだ?」 『好きです』 電話口から聞こえた言葉に、体温が上がるのがわかった あいつは毎日飽きもせず、俺に好きだと言う 「…何度言っても俺はなびかないぞ」 そう言って、電話を切る あの声で囁かれる『好き』が心地いいなんて、当分は言ってやらないことにした
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