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【ご当選おめでとうございます!】
………………………
聖 魅沙 様
あなた様はこの度、○○街担当のサンタに任命されました!
つきましては、追って同街担当トナカイを派遣いたします。
任務については、彼から聞いて下さるようお願い致します。
それでは、素晴らしいクリスマスを!
「……なに、これ!」
その内容は魅沙を憤慨させるに充分なものだった。
(――私の、『夢』も『希望』も全て奪ったクリスマスに『サンタ』になれだなんて……!)
内容も内容だ。
馬鹿にするのもいい加減にしてほしい、魅沙はそう思い……もう1通の手紙は読む気分にもなれず、そのまま机の上に置いた。
着替えを済ませると、孤児院の毎朝の行事に参加すべく、礼拝堂へと向かう。
その足取りは、重い。
なぜなら、それはあと5日後に来たる、クリスマス行事である『ミサ』についてのものだからだ。
――魅沙と讚汰が身を寄せていた孤児院は『キリスト宗派』のものだったのだ。
孤児院施設の敷地内にある礼拝堂からはソプラノの賛美歌が聴こえてくる。
礼拝堂までの長い長い回廊をとぼとぼとおぼつかない足取りで進んでいった。
――12月20日早朝
――礼拝堂。
魅沙の運命はここから大きな変化を迎える。
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