第二章―学校―

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「で、転入生の道案内をしていて、遅刻をしたと。だから今回は、遅刻には数えないでくれ。そういうことか?」 「そうです。僕のような優等生が意味もなく遅刻などという恥ずべき行為をするわけがありません」  と言うには多過ぎる遅刻回数を重ねている俺を見て、明らかに遅刻途中で転入生に出会ったのをいいことに、遅刻の理由にするため職員室に連れてきたと踏んでいる担任教師の裏をかき、 「そうです。決して、遅刻途中で転入生に出会ったのをいいことに、遅刻の理由にするため職員室に連れてきた、などということはありません」  と先手を打った。残念だったな、俺の勝ちだぜ、先生。  負けを悟ったのか、眉間に皺を寄せた先生は 「そういうことか。お前が転入生の案内などするわけないと思ったよ」  と嘆息し、出席簿の俺の欄に遅刻を一つ増やし……って、えーっ! ちょまっ、ウェイト! つまり、待て!
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