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失ってからでは遅過ぎたのに
僕は気付かないフリをした…
恐怖、だと感じる。
何が怖いのかと訊かれても答えられはしないのだけれど。
何故ならば自分ですら解っていないからだ。
唯、怖くて不安だった
過呼吸を起こし倒れそうになるのも最近では日常茶飯事となりつつある。
そしてその度に、傷が、増えていく…
左手首に走る朱い筋。
こんな傷が自分にとってほんの一瞬でも安定を与えてくれる等とは、どこまで弱くなってしまったのだろう。
それでも、右手に握り締めているカッターナイフを手放せない。
仕方ないんだ…また何時も通りに、あいつらと笑いあい騒ぐには
こうでもしないと、無理なんだから…
腕に痛みが走ると同時に朱い液体が伝う。
それを何度か繰り返し、薄れる意識であいつらに謝る。
―――こんなにも弱くて、スマン
―――こんなにも偽って、スマン
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