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変わらぬ笑顔
朝、駐車場で出会う。
何ヶ月ぶりだろ、こんな風に話すの。
並んで歩く。
正門までの距離が何時もより長く感じた。
もう、ずっとこんな風に話してなかったのが、嘘みたいに自然に会話してる私達。
やっぱり、無理―こんなにも話せる事が嬉しい。
心を押さえ付けておく事なんて出来ない。
玄関に入る。他の人の影に距離を置く。
人の口の端に上るのは本意でない。意味の無い噂話の標的はもう十分だ。
すれ違い様に瞳がぶつかる。
―何か、言わなくちゃ…。
困惑している私に彼からの言葉が降る。
「服、いつもチャントしてて偉いね。」
今までに何度となく、彼から言われてきた言葉。
彼を振り返る。
そこには、あの日と変わらない、はにかんだ笑顔があった。
Fin.
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