刹那の時を越え…

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 …雷が死んでからもう七年もたつのね… あっ私は由良、今ね、ちょうど赤ちゃんが生まれそうなの… 雷が死んでから、私は落ち込んだけど、でも…雷の分まで幸せになろうって決めたの! そして仕事に就いて、そこである人と出会ったわ… ふふっ、今の旦那よ 彼なら私を幸せにしてくれると思ったの…根拠はないわ、でも雷なら彼を認めてくれると思う。 それで苗字も藤原に変わったの… え~と…私の旧姓知ってるかな? 『東大寺』っていうんだけど…まぁそれはもういいわねっ 私は今…とても幸せよ あのとき雷と付き合ってたから… あっもちろん今愛しているのは旦那よ? だけど、きっかけをくれたのは雷だったから… 本当に感謝してる。 今もどこかで見守っててくれてるのかな? 見守っててくれてるよね… だって…今、こんなに幸せなんだもん… …痛っ…ごめんなさい、陣痛が始まったみたい… 「はい藤原さん、頑張って!赤ちゃんはもっと頑張ってるのよ!」 「…は…はいぃ!」 本当に痛い…!噂には聞いてたけど…これは体験しなきゃ分かんない痛みね………痛っ!!! 「………ほら出た!頑張ったわねぇ元気な男の子よ…あら?この子手にあざが…」 「…えっ?あざって…」 それを見た私はすごくビックリしたわ。 「この子の名前、…に決定ね…!」 ―三年後― 「はい、じゃあみんなで自己紹介をしましょう!」 幼稚園の先生の声が響く。 「はい、じゃあまず…藤原雷君!」 「はい、ふじわららいです。よろしくおねがいします」 「ねぇせんせ~、らいくんの手にハートマークがあるよ~なんで~?」 「本当ね!…う~ん…先生には分かんないかな~」 「あのね!」 雷が元気良く口を開いた。 「これはね…ぼくが生まれる前にママとあいしあったあかしなんだって!!!」
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