恋心

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彼と話しているうちに 『恋』というものを知った。 あの日、私の中で踊った “何か”とは恋心だったのだ。 それに気づく事が出来たのは 二日目の夜だった。 夜中、トイレに行こうと 部屋を出たとき。 大悟君がリビングの電気を消し、 小さなライトだけを頼りに 何かに熱中しているところを見たときだ。   「ん、雪。  なんだ、起きてたのか?」 「トイレ、行こうかなって。  大悟君何してるの?」 「俺の夢への道を歩いてるんだよ」 彼はそう言うとニカっと笑った。 私はゆっくりと 彼に近づき手元を見る。 ミシンに布。 そしてノートには人が描かれていて それに服を着せて…    「服を作ってるんだ?」 「お、あたりー!  ちょっと落ち込み気味  だったんだけどさ、  雪があの服とか俺がやる服を  喜んできてくれるのを見てると  作りたくなったんだ。  ありがとうな、  すっげー嬉しいよ」 彼の笑顔が眩しかった。 私は目を開けたまま返事が出来ず、 ただただ彼を見ていることしか……… 恋をしているということに 気づいたこの瞬間。 私の心はまた舞い躍るのでした。     その後、恋に気づいて ドキドキしている私に気づかず、 彼はまたたくさんの話を 聞かせてくれた。 今作っているドレスは、 クリスマスに開催される デザインコンテストに 出すものだと。 予選通過かどうかは デザイン画で決められるらしく、 もう少ししたら届く結果を 待っていると言っていた。 「へー。  大丈夫だよ!大悟君なら!」 「ん、ありがとうな。  …実は去年は落選したんだよ。  だからちょっと怖いんだけどな…  そろそろ届くはずなのなさ…  ま、今年は雪が一緒だしな、  大丈夫だな!」
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