恋心

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一緒に過ごせば過ごすほど、 彼の存在は大きくなっていって… 彼と一緒に笑っている。 それだけが今の楽しみになって…。 そんなある日。 彼がとても嬉しい知らせを 運んできてくれた。   「雪、ゆーき!!」 「ん…ふぁ…おはよぉ」 「起きろ?!目、開けたか?!  開けたらよく聞けよ?!」 「んぁ~?」   「予選通過したんだ!!!!」   「へ…うっそ…  大悟君、おめでとう!!!!」 「雪、ありがとうな!!」 寝ぼけていた私も 一気に目を覚ます。 あの日から4日目。 ようやく予選通過が届いたのです。 彼の話だと本当はもっと前に 届くはずだったんだけど 郵便局の手違いで やっと手元に葉書が届いたらしい。 私と大悟君は 手を取り合って喜んだ。 そして、彼が顔を近づけて言った。   「なあ、当日。  あのドレスを着てくれる  モデルが必要なんだ。  雪、モチロン  引き受けてくれるよな?!」 「そ、そんな…いいの?!」 「ああ、雪にしてほしいんだ。」 私は思わず飛びつく。 あの日、彼に飛び込みたかった。 あの日の想いを… 叶えることが出来た瞬間…。   「私、似合うかな…?  ありがとう、本当に…!」 「ばーか。  似合うに決まってるよ。  去年の冬、落選して  落ち込んでてさ。  クリスマスの夜に  『あー今頃…』って思いながら  えーっとほら、  雪と会った道で  ぼーっとしてたんだよね。  その時の雪が綺麗でさ…  あ、空から降ってくるやつだぞ?  で、なんかイメージが  沸いたんだよな。  んですぐにに  あげた服を作ったんだ。  けど、ドレスがテーマだからさ、  作り直したんだ。  だからさ、  あの服が似合ったなら  これも似合うんだよ!」 彼は少し頬を赤らめながら 私の頭を撫でてくれる。 ねぇ、大悟君気づいてる? 貴方は恥ずかしくって、 それを隠すときは いつも、いつも私の頭を 撫でるんだよ? それは…私だけ? 私しか知らないのかな? そうなら…嬉しいな。 …それに、やっぱり 気づいてくれていたんだね。 あの日、あの場所で 私達は既に出会っていたこと…。   コンテストの日は 25日クリスマス。 そして私に与えられた タイムリミットもまた、クリスマス。 もう答えは決まっている。 彼と一緒にいたい。 この部屋は25日を最後に 出なくてはいけないけれど、 部屋を探して… まずはお金も稼いで… 今更雪になんて戻るものか。
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