ドレス

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そしてコンテスト前日の夜。 いよいよだね、 なんて話をしているとき。 彼がいつもの強気な感じではなく おずおずと口を開けた。   「雪?」 「ん?」 「いよいよ明日だな」 「ん?それ何回目~?」 「ち、違う…。  コンテストもだけど…  雪が帰るのだよ」 「ぁ…」 そうだ。 私は明日になるとこの部屋を出て 自分の部屋を 探さないといけないのだ それまでの間…どうしようかなぁ?   「雪、聞いてる?」 「へ、あ…ごめん…。  そうだよね…  明日でこの部屋ともお別れ…か。」 「雪さ…?  もし俺がもうしばらく  ここにって言ったら  いてくれるの?」 「…え?」 「俺、…こんな事言うの  おかしいかな。  この一週間さ?って、  まだ一週間も経ってねぇけど…。  雪といてすげぇ楽しかった。  なんだか前から  知ってる感じがしてさー。」 「大悟君…。  大丈夫だよ、  この部屋出ても  私は毎日会いにくるもん」 「…ああ。  それにこの家は親父名義だしな…  けどさ、離れたくない。  離したくない…  こんな事思うの…変かな。」 「大悟…く……それ…」 「ご、ごめん。食べよう」 大悟君は顔を真っ赤にして ご飯を頬張る。 今回はわざわざ私の頭に 手を伸ばすわけにはいかないので ご飯を食べる事に熱中して、 恥ずかしさを紛らわす気らしい。 私自身も顔が熱くなるのを感じた。 これが…告白と言う奴だろうか。 返事は明日、 ドレスを着て言おう。 そう思ってその時は 何も返事をしないでいた。      
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