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大悟君が控え室から出て数分後、 私の番号が呼ばれた。 ステージに立つと 足が震えて泣きそうになる。 周りの目は全て 私へと向けられている。 舞台袖から歩き出す事が出来ない…。 本当に、本当にこんな私で 大丈夫なのだろうか。   そんな時、後ろから 大きな手が伸びてくる。   「大悟君…!」 「雪、頼んだぞ?」 私は精一杯の… ううん、満面の笑みで頷いて 一歩を踏み出す。 さっきまでの緊張が 嘘かのようにスムーズに歩けた。   彼のデザインしたドレスは、 まるで雪が舞っているようなデザイン。 レースについた小さなボンボリが ポイントだといっていた。 私がクルリと回って見せると、 そのボンボリがちょうどいい感じに揺れる。 大悟君、今私楽しいかもしれない!     舞台袖に戻ると、 大悟君は思いっきり 頭を撫でてくれる。 私はそれにお礼を言って 結果を待った。 その間、二人の間に流れる空気は いつもとは違う。 大悟君は、 期待してくれているのだろうか?       結果は2位入賞。 大賞は逃したものの、 私達は十分満足できていた。 大悟君が私の頭に手を乗せて、 「来年は大賞とるからな!」 と、笑ってくれた。 私は大きく頷いて退場をした…。
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