舞い降りた少女

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「うふぁ…!!!」 突然お尻に衝撃が走る。 私はお尻を パンパンとはらいながら立ち上がる。 そこは人通りが少ないのか… それともたまたまなのか、 辺りを見る限り誰一人いなかった。 少し寂しいなーなんて 考えながら私は空を見上げた。 「…面白~い。  こんな感じなんだ。」 今までと全く違う世界。 私は嬉しくて走り出してしまう。 その直後、小石に躓いて 再び地面へとダイブ……   「……ップ!」 そーっと顔を上げると 目の前に男の子が立っていた。 私に手を差し伸べてくれているものの 大笑いしているではないか…。 「ぅぅ…」 恥ずかしくて顔も見れないまま、 私は男の子の手を借りる事にした。 男の子の手に触れた瞬間、 私の頭の中に 何かが一気に入り込んでくる。 そして今更のようにして気づくのだ。 私、こんなところで転ぶために こっちへ来たんじゃないんだよ!   「大丈夫?あんた派手に転ぶねぇ。」 「あ、え…ありがとうございます。  わ、私急が…ない…と?!」 男の子の顔を見て 思わず声が裏返る。 お目当ての彼はここではないか!!!   「ねぇねぇ。  寒くないわけー?」 私は少し アタフタしているというのに、 彼はクックックと笑いながら私を見る。 …こんな人だった? 去年見たときは こんな人じゃなかったような…。 「ぜ、全然寒くないよ!  なんなの。  どうしてそんなに笑うんですか!!」 「ん、だってさ、この季節だよ?  12月でその袖なしの服って…  どうなわけ?」 私は自分が着ているものを見る。 いつもはこんなの着ないし… 逆に違和感がある感じ。 でもそれなりに 気に入ってるんだけど。 白いワンピース。 キャミソールになってるから 肩も出ている。 確かに、彼の服と比べると… うん、おかしいかも?   「んー…ちょっと来てみ?」 彼はニヤっと笑って 自分の上着を私にかけてくれた。 そして私の手を引いて歩き出す。 私は何がなんだかわからないまま 黙って着いていく事しか 出来なかった。 まさか…こんなにも簡単に 彼に近づけるだなんて…。
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