舞い降りた少女

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「適当に座っててよ。  ちょっと待っててね」 そう言って彼は 奥の部屋へ姿を消した。 ここはおそらく彼が住む家なのだろう。 私は部屋の中を キョロキョロと見るだけで、 落ち着く事なんて出来なかった。 いたってシンプルな感じ。 必要なものだけが 揃ってるというか… そのせいか部屋は 広く感じられたが、 それが逆に寂しいような…。   立ったままオロオロしている私に、 再び姿を見せた彼は 紙袋を放り投げる。 「それ、着てみて」 何が入っているのかと 覗き込もうとすると、 「あー!!!  ここでは見ないで…!  こっちこっち、  あ。覗いたりしないから安心して」 そう言ってケラケラっと 笑いながらキッチンへ入っていく。 私は先程彼が入っていた部屋に入る。 電気をつけると 周りにはたくさんの洋服が かけられていて 私は少しの間それを鑑賞する。 そしてようやく 袋の中身を出してみる。 「…わぁ」 中に入っていた洋服を見て驚く。 すごく可愛らしいではないか。 着てみて鏡に映る自分を見る。 に、似合ってないよ…コレ?!   「着た~?」 「え、あ…はい。で、でもぉ…」 「開けるね?」 彼は返事も待たずに扉を開けた。 そして私を上から下までじっと見る。 「あー、ちゃんと帽子もかぶってね?」 私が足元の帽子に気づかず ワタワタしていると、 彼がスッと近寄り、 白いふわふわの帽子を かぶしてくれた。 その時に私の髪を 分けてくれたりして 彼との距離が…近い。 私は目を開けている事が 出来なくって ギュっと瞑る事しか出来なかった。   「おー…!イメージ通り!」 不安な私をよそに、 彼は歓声を上げる。 目をそっと開けて鏡を見るけれど さっきと同じで…きっと変だよ。 「いやー、  これ似合うと思ったんだよ。  それ、やるよ。  どうせあの服じゃ絶対寒いって」 「あ、ありがとう!」  
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