舞い降りた少女

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私は…人ではありません。 私は人になる事を望んだ『雪』。 去年のこの時期、 私は毎年のようにして 空から静かに降りてきました。 その時に彼… 大悟君を見つけたのです。 彼は少し複雑な顔をして 空を見上げていました。 まるで私を 見つめていてくれているような 気がして… 今まで感じた事のない何かが 私の駆け巡ったのを覚えています。 けれど、私達には自由がありません。 だから彼へと 飛び込みたかったというのに 偶然吹いた風のせいで 私は少し反れた地面へと 降りたのでした。   あの人に触れたい… お話しがしたいよ…    そう願った。 ずっと、ずっと、この一年間…。 そして、一週間という タイムリミット付きで 人へと変わる事が出来たのです。 そう、確かこんな事を言われた。   『人になると言う事は  簡単なことじゃないんだよ?  人と雪は全然違うのだから……。  ……………………………  だからまず君に  一週間という時間をあげよう。  一週間経ってもまだ、  君が人になりたいと願うのならば  永遠に人の身体を授けよう。  けれど、気が変わって  やはり雪に戻りたくなれば  戻っておいで。  みんな笑顔で君を迎えるよ。    …もし、君が人になる事を  選んだのならば  二度と雪には戻れない。  永遠に…………ずっと…ね。  反対に、雪に戻る事を  選んだのならば  二度と人にはなれない。  さあ、一週間の時間を与えよう。  よく考えるんだよ?』   で、気づけばしりもちを ついていたってわけ…。 でも、何か大事な事を… 忘れているような…?    
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