ACT1…発現と初陣

11/37
前へ
/527ページ
次へ
校門の前には教育主任の梶原先生が立っていた。 ピシッとした黒いスーツとネクタイを着用している。 梶原先生は急いで校内に入って来た進を見て、言った。 「青空、第一ボタン。」 ビシッと青空進のワイシャツの開いている第一ボタンを指差す。 これが梶原先生の口癖だった。 だが、進はそんなことを気にしている場合ではない。 そのまま自転車で梶原先生の横をすり抜け、自転車置場に直行した。 「あ、青空ァッ!!」 梶原先生の怒鳴り声が聞こえたが、進は自転車置場に自転車を停め、昇降口に駆け出していた。 「ごめんなさ~いッ!!」 進は謝り、誰もいない昇降口の自分の下駄箱から上履きを出す。 代わりに靴を入れ、上履きをはき、ダッシュした。 「まずいッ!これは非常にまずいぞ……!!」 進は今まで遅刻をしたことがなかった。 普通に登校すれば、遅刻をしないからだ。 だが、今日はあの不思議な女の子のせいで(せいでと言うのはおかしいかもしれないが)遅れてしまった。 (今日はツイてないな……) 進はそんなことを考えながら、息も絶え絶え廊下を走り、やっと一階の自分のクラスにたどり着く。 進は教室の後ろのドアをそっと開いた。
/527ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3276人が本棚に入れています
本棚に追加