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校門の前には教育主任の梶原先生が立っていた。
ピシッとした黒いスーツとネクタイを着用している。
梶原先生は急いで校内に入って来た進を見て、言った。
「青空、第一ボタン。」
ビシッと青空進のワイシャツの開いている第一ボタンを指差す。
これが梶原先生の口癖だった。
だが、進はそんなことを気にしている場合ではない。
そのまま自転車で梶原先生の横をすり抜け、自転車置場に直行した。
「あ、青空ァッ!!」
梶原先生の怒鳴り声が聞こえたが、進は自転車置場に自転車を停め、昇降口に駆け出していた。
「ごめんなさ~いッ!!」
進は謝り、誰もいない昇降口の自分の下駄箱から上履きを出す。
代わりに靴を入れ、上履きをはき、ダッシュした。
「まずいッ!これは非常にまずいぞ……!!」
進は今まで遅刻をしたことがなかった。
普通に登校すれば、遅刻をしないからだ。
だが、今日はあの不思議な女の子のせいで(せいでと言うのはおかしいかもしれないが)遅れてしまった。
(今日はツイてないな……)
進はそんなことを考えながら、息も絶え絶え廊下を走り、やっと一階の自分のクラスにたどり着く。
進は教室の後ろのドアをそっと開いた。
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