ACT1…発現と初陣

12/37
前へ
/527ページ
次へ
まだ担任の先生、中先生は来ていなかった。 皆、席に着いて周囲の人と話している。 進はホッと胸を撫で下ろし、窓際後方の自分の席に座った。 「めずらしいね。進が遅刻してくるなんて」 話しかけて来たのは、隣の席の神崎美緒(カンザキミオ)だ。 茶色い髪の毛をゴムで二つにまとめている。 ふんわりとしていて、細く、柔らかそうな髪の毛。 女子用のブレザーに赤いリボンがよく似合っている。 目はパッチリしており、瞳はいつもキラキラと輝いている(ように見える)。 成績は全体的に普通だが、強いて言えば体育がよく出来る。 ちなみに部活は剣道部。 明るく元気がいいし、優しい。 こんな彼女を見て、かわいいと言う男子は少なくない。 だが、進は見てても別にドキンともしない。 進には「誰々が好き」だとか、高校生なら誰もが抱くような感情がわかなかった。 美緒はただの女友達だと思っている。 だから美緒とも意識せずに普通にしゃべれるのだ。 「別に……ただちょっとトラブっただけだよ。」 進は呼吸を整えながら、気のない返事をした。 「トラブった?」 美緒が話に食いついた。 キラキラした目が進を見据える。
/527ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3276人が本棚に入れています
本棚に追加