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まだ担任の先生、中先生は来ていなかった。
皆、席に着いて周囲の人と話している。
進はホッと胸を撫で下ろし、窓際後方の自分の席に座った。
「めずらしいね。進が遅刻してくるなんて」
話しかけて来たのは、隣の席の神崎美緒(カンザキミオ)だ。
茶色い髪の毛をゴムで二つにまとめている。
ふんわりとしていて、細く、柔らかそうな髪の毛。
女子用のブレザーに赤いリボンがよく似合っている。
目はパッチリしており、瞳はいつもキラキラと輝いている(ように見える)。
成績は全体的に普通だが、強いて言えば体育がよく出来る。
ちなみに部活は剣道部。
明るく元気がいいし、優しい。
こんな彼女を見て、かわいいと言う男子は少なくない。
だが、進は見てても別にドキンともしない。
進には「誰々が好き」だとか、高校生なら誰もが抱くような感情がわかなかった。
美緒はただの女友達だと思っている。
だから美緒とも意識せずに普通にしゃべれるのだ。
「別に……ただちょっとトラブっただけだよ。」
進は呼吸を整えながら、気のない返事をした。
「トラブった?」
美緒が話に食いついた。
キラキラした目が進を見据える。
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