ACT1…発現と初陣

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「……小三ぐらいの女の子を……チャリで……轢いた」 ちょっと言いづらかったが、正直に告白してみる。 美緒のキラキラした目がちょっと曇り、嫌悪の目になった。 「うわ~、アンタ最悪」 きっぱり言われ、弁解する進。 「いや、じ、事故だから……」 進が冷や汗をかきながら言うも、美緒はその視線を変えない。 「最悪~」 美緒が追い打ちをかけるかのように、またその場を楽しむかのように言葉を重ねる。 「イヤ、でもなんか変だったんだよ」 進が言いかけた時、席の後ろから進の肩に手を置いた物がいた。 「よッ!朝からアツアツだな!」 話に割って入ったのは和田一輝(ワダイッキ)。 一部の生徒の間ではちょっとウザがられているが、いつも明るく、ポジティブな進の悪友である。 そんな性格もあって、大半の人から人気を集めている。 髪を金髪に染め上げ、いつもワックスで立てている。 ブレザーとネクタイをだらし無く着こなしている。 が、そんな身なりにもかかわらず成績優秀、そしてスポーツ万能。 部活は野球部に所属。 そして、なぜか進と美緒が話しているといつも話に割り込んでくる。 まあ、進はその理由を知っているのだが。
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