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チェーンの金属音とスチールの軋む音が豪快に鳴り、自転車はその子にぶつかって倒れた。
進は勢いよく自転車から転がり落ちる。
女の子は吹っ飛ばされ、コンクリートの地面に頭を打って転がった。
「ゴ、ゴメンッ!!大丈夫!!?」
進は女の子に駆け寄った。
自分も自転車のハンドルで腹を打ち、痛かったが、それどころではない。
女の子の方が心配だった。
女の子は8歳くらい。
小学生に見えたが、ランドセルを持っていなかった。
まだ南海小学校は夏休みなのだろうか。
茶色いロングヘアに顔立ちの良い、かわいい女の子だった。
ただ奇妙なことに、この子、どこからも血が出ていなかった。
頭を打ったと思ったのは間違いだったのか。
これを奇妙と思うか幸運と思うかは人それぞれだが、とにかく血は出ていなかった。
進はこれを幸運と思った。
「よかった、血は出てないみたいだ……!でもまさか、骨折とかしてないよな…………?」
進は冷や汗がどっと出ていた。
心臓がドキドキしているのが自分でもわかった。
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