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女の子はいきなりムクッと起き上がった。
そう、『ムクッ』と。
進は一瞬驚いたが、気を取り直し、声をかけた。
「大丈夫?ごめんねホントに。ホントにごめん!!」
進は必死に頭を下げ、謝った。
(小学生相手に何やってんだか)という考えが進の頭をよぎったが、それでも謝った。
間違いなくこっちが悪いのだから。
「ホントに大丈夫!?怪我しなかったかい?」
進は何の反応もない女の子に呼びかけた。
女の子はジーッと進の顔を見ている。
つぶらで大きいが、まっすぐな瞳。
中身を見透かされそうな輝きがその眼にあった。
突然、女の子が口を開いた。
「あなたが八人目……。」
そして静かに立ち上がると、何も無かったようにスタスタと歩き出した。
「は……?」
進は呆然とした。
女の子はT字路をまっすぐ歩いて行き、途中の角で右に曲がり、姿を消した。
「な、なんだ今の……!?」
進は女の子に呼びかけた時の四つん這いの格好のまま、呆然としていた。
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