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……俺、和洋に何も出来てねぇじゃん。
仕事して、楽しそうに同僚と笑って。
和洋は、こんなにも苦しんでるのに。
…解ったようなフリしてるだけだろ、これじゃ。
和洋は、いつ記憶がなくなるか解らない恐怖の中、過ごしてるのに。
そんな恐怖感…俺には解ってやれなくて。
「いつ忘れちゃうんだろう、って…。」
苦笑を漏らしながら、ぽつりぽつりと和洋は話し出す。
「俊也からもらったブレスレットも…一緒に撮った写真も……今までの思い出も…」
言葉を紡げば紡ぐ程、どんどん泣きそうな表情に変わっていく。
「…全部、消えちゃう…って……」
……そうだ。
俺、自分が忘れられたらって事ばかり頭にあった。
自分の事ばっかで、忘れる方も辛いって…考えてやれなかった…。
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