第4話。

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……俺、和洋に何も出来てねぇじゃん。 仕事して、楽しそうに同僚と笑って。 和洋は、こんなにも苦しんでるのに。 …解ったようなフリしてるだけだろ、これじゃ。 和洋は、いつ記憶がなくなるか解らない恐怖の中、過ごしてるのに。 そんな恐怖感…俺には解ってやれなくて。 「いつ忘れちゃうんだろう、って…。」 苦笑を漏らしながら、ぽつりぽつりと和洋は話し出す。 「俊也からもらったブレスレットも…一緒に撮った写真も……今までの思い出も…」 言葉を紡げば紡ぐ程、どんどん泣きそうな表情に変わっていく。 「…全部、消えちゃう…って……」 ……そうだ。 俺、自分が忘れられたらって事ばかり頭にあった。 自分の事ばっかで、忘れる方も辛いって…考えてやれなかった…。
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