第2話

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季節は冬。 もうすぐ、X'masというイベントが来るっていうのに。 俺ら2人の間には冷えたような空気が流れていた。 『俺、病気なんだって』 「…え?」 突如、恋人―…森田和洋に言われた。 俄かに信じがたい話。 ましてや、あっさりと言うから尚更だ。 『若年性アルツハイマーっつってさ、記憶がどんどん失くなるって』 そう言って苦笑した和洋の顔は、冗談の表情ではなかった。 …何、言ってんの? 『…今までの思い出とか、ッ…消えてっちゃうって…』 徐々に揺れる声。 零れ出した、澄んだ雫。 強がりで勝ち気な和洋の、久々に見る涙だった。
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