101人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
俺達はその日、遊園地に来ていた。
暗くなって来て、遊び疲れも溜まって来たのかベンチに腰を下ろす。
「去年もさ、2人で遊園地来たよな」
『うん、来たね。懐かしー…』
微笑む和洋を見て安心し、視線を観覧車へと移しそのまま話し出す。
「ここのベンチで、和洋アイス零してさ。で、ガキみたいに俺につけてきて……」
『ごめん』
「え?」
言葉をいきなり遮られ、しかも謝られれば目を丸くして視線を和洋に戻す。
『…覚えて、ないんだ』
そう言って、和洋は苦笑した。
―…そう。
もう、和洋の頭の中は少しずつ蝕まれていっている。
少しずつだが、確実に。
俺は返す言葉が見付からず、先程の場所へ視線を戻した。
『俊也』
「…ん?」
『観覧車、乗らねぇ?』
「…あぁ」
最初のコメントを投稿しよう!