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3「おい、八戒起きろ。夕飯だぞ?」
三蔵の声に目をゆっくりと開ける。
どうやら僕は読書の途中で寝てしまったようです。
目の前には三蔵しかいません。
8「…三蔵…悟空と悟浄は…」
3「あっちで待ってる。だから早く来い。猿共が騒ぐ。」
8「フフ…はい。今行きますよ。」
椅子からゆっくりと立ち上がり、食事をする別室へと向かう三蔵の後へつづく。
三蔵は部屋の前で立ち止まると顎で扉を開けるよう正した。
何かあるのでしょうか?
疑問に思いながらもそっと扉を開けた。すると…
―パン!パン!―
5&9『お誕生日おめでとう!』
大きなクラッカー音と上から降ってくる紙吹雪。
笑顔でこちらを見ている悟空と悟浄…。
そしてその奥には色々な種類の料理の数々とケーキが…。
これはいったい…
9「この料理、宿の人に聞いて俺達が作ったんだぞ!」
5「ケーキもちゃんとお前の名前が入ってるんだぜ!」
3「…八戒、お前への日頃の感謝だそうだ…勿論、俺も含めてな…」
三蔵に後ろから肩をポンと叩かれ我に返る。
全く…この人達は…
8「僕の誕生日のために…ありがとうございます。」
嬉しさのあまり、何を言ったらよいのか分からず、礼しか言えませんでした。
その後、悟空に手を引かれ席に座り、料理を見ます。料理は見た目は少し焦げたところもあり、少しあれでしたが美味しそうな匂いを漂わせていました。
ケーキも悟浄が言っていたとおりちゃんと
『八戒お誕生日おめでとう』
と書いてあり、横には白龍の砂糖菓子付きで思わず笑ってしまいました。
どううやって作ったんでしょうね。
9「なぁ…八戒…俺腹減った…」
5「俺も…」
3「…お前らな…」
料理を見ていると悟空のお腹の虫の鳴き声が聞こえてきました。
8「フフ…ではみんなで食べましょうか。」
9「よっしゃ!料理したのにつまみ食い出来ないの辛かったんだ!いただきます!」
5「おぉ!んじゃ俺も♪いただきます!」
3「…俺も頂くぞ。」
8「はい、では頂きます。」
唐揚げを取り一口食べました。
8「美味しいです。」
悟空達が必死に料理を作る姿を思い浮かべて思わず笑みがこぼれます。
『幸せ』とはこんな時間のことを言うのですかね…。
そんな事を思いつつ皆さんの笑顔と幸せの味を噛みしめました。
【end】
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