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三十分前。
「皆集まってくれ!」
なんだ?俺は作業の手を止め声の主、徳光曹長に近づいていく。
徳光曹長は俺の小隊の長だ。
「何ですか徳さん?」
普通、下のヤツは上司に対して階級をつけて呼ばないといけないのだが、徳さんはそれを嫌ってあだ名で呼び会うよいにしている。
だから俺もケンなんて呼ばれるんだが。
「実は今月の24日に残留をウチの部隊から一名差し出せと言われた」
…………は?と申しますと?
「クリスマスは駐屯地内で野郎と過ごせと言うことだ!」
嘘だ!と叫びたいがここは取り乱したら敗けだ。反論すれば押し付けられる。
しかしどうしてまた?
「急に24日の残留者が別部隊の支援に回ってな。ウチは一人も残留者がいないから差し出せだと」
うわ、なにもこんなときに。
「よって公平にするためくじ引きをする。どうせ全員用事とかあるだろ?」
赤い割りばしがハズレな?と人数分の割りばしをハズレが見えないよう握って差し出す徳さん、何だかウキウキしてる。
しょうがないので一番に引くことにした。後からだと嫌な予感がする。
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