小夜編之一

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穿つ、 穿つ穿つ、 穿つ穿つ穿つ穿つ穿つ。 幾重にも絡み合う殺気の螺旋。 小夜を四方八方から襲い来るクナイの雨。常人ならば刹那の間に肉片と化すだろう。が、しかし小夜とて鍛練を重ねた忍。瞬時に最小限の動きでかわし続ける。 「あら、以外と上手く避けること。でも、逃げてばかりじゃ勝てないわよ。」 声の主は楽しそうに余裕な様子で話続ける。 (もう少し…。もう少しだけ…) 小夜は堪え続けた。あと少し、もう少しなのだ。 「フフフ…。じゃあ、死んで貰おうかしら。さようなら、飼い犬さん。」 来た。 集中する。 左斜め後 相手を仕留める瞬間というのは“殺す”という気配がどうしても漏れてしまうものである。それはどんなに熟練した暗殺者であろうと同じで、ほんの刹那の殺気が必ず表に出てしまう。 クナイの雨を躱しながら待っていた刹那の隙。 「そこぉっ!」 小夜は朱雛菊を構え、一足跳に目標に向かった。
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