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校長先生の長い話が終わって体育館の外に出て見上げたそこには、私の今の心境のように晴れ渡り青々としている夏空が広がっていた。
入道雲が綺麗だなぁ。
「なぎぃー!!」
体育館の渡り廊下で足を止め空に見とれている私の後ろから2人分の声が聞こえた。
「む? 美弥と美優。どうしたの?」
振り返るとそこにいたのは、どこか似ている愛らしいお嬢さん2人。
みやとみゆと言う名前が紛らわしいこの2人の女子は二卵生双生児、つまり双子。この前話していた私の新しい友達がこの娘たちなんだ。
美弥がお姉ちゃん。お姉ちゃんときたらしっかり者というのがテンプレートなのだがこっちはずぼらでがさつ。どこかふんわりとしている。髪は後ろにシャギーが入った長めのボブショート。
美優は姉とは対称的で、しっかりものでこっちがお姉ちゃんみたい。髪は肩までおろしたストレート。
「やぁーなぎぃ。今日は良い話を持ってきたー」
どこかの気の抜けた喋り方をするのは姉の美弥の方。両手をブラブラさせながら私に話しかけてくる。やばい、抱きしめたい……。
美優は興奮を抑えられないような口調でその良い話の内容を説明し始めた。
「私たちの親戚のおじさんにね、すっごーいお金持ちで海の近くに別荘持っている人がいてね! その主人が何人か友達連れて別荘遊びに来ないかっ!? って誘われてるの。なぎぃー夏休みになったら一緒に行こうよ?」
「う~ん」
「おっ!! おもろい話まぜてっ!!」
少し考える私の肩に気さくにポンと手を置いてきたのはユッキーだった。
「? 誰このチャラ男ぉー?」
「む!? 初対面の人間に失礼な! 俺は凪沙のれっきとした友達だぞ! な?」
ユッキーはそう言って私に同意を求めてきたが、私は少し首を横に傾けておどけて笑ってみせた。
ユッキーはがっかりした顔をしてうなだれて、美弥と美優はそれを見て笑ってる。
すごい楽しい!!
ユッキーと美弥と美優の後ろでふわふわ浮いているメリーも満足そうな顔をして私達を見ています。
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