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「今からでも遅くない……私は今を楽しむ! 」
うん!
「誰にも邪魔はさせない! あんたなんか知らない! 邪魔するならぶ、ぶっ飛ばす!!」
言えるじゃん私!
「ふん! あんたは一人なのよ! 一人で何ができるのよ?」
翔子は座り込んだまま私を馬鹿にするような、でもどこか怯えているような、そんな顔を私に向けた。でももう私は怖くない。
「何でも出来るわよ。そうね……一人だから、友達が作れる! あんたみたいな奴じゃなくて本当の。死ぬまであだ名で呼びあえるような……」
そうだよね、メリー?
私はモップを手から床に落とし、翔子を少しどけてトイレの扉を開けた。
昨日までの弱い私は死んだ。
今日からは違う、逃げないでいれた、正面からぶつかっていけた、私は…強くなれたんだよね?
ありがとうメリー。
メリーがいなかったら私、本当にダメだったかも。ううん、駄目だったよ。
扉を開けて、校舎の外に見える青空はどこかいつもより綺麗に、大きく見えた。でも手を伸ばせたら掴めそうな…そんな気分な私だった。
「おい、梅村大丈夫か!?」
横の方から知らない男の人が私を呼んでいる声がした。
そちらに向き直ると、やっぱり知らない少しチャラ男系の男子生徒が立っていた。ここまで走ってきたのかな? 凄い息がきれてる。
「……私に何か?」
「用って程でも……てか血が出てる!? やばい!!」
そう言って謎の男子生徒は自分の着ていたYシャツを脱いで、なんとそれで私の額を拭った。
「ぷわぁ!?」
とっさのことに私は対応できなかった。されるがままってやつ。香水のほどよい香りがしてたな。彼は私の額を拭った後、人懐っこい笑顔を浮かべた。
「いやぁー良かった。無事で! 俺、君の隣のクラスの高見由紀彦って言うんだ。君が学校来てるって言うからなんか心配でさ。友達からは反対されたんだけど……いや、本当に良かった」
───自分から世界を受け入れれば、世界はいくらでも答えてくれる。
この時すごい嬉しかったはずなのに、すごい泣きそうになったのは、ユッキーにはいつまでも内緒にしてるんだ。
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