a.少年

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a.少年

暗いくらい 闇の中 手を伸ばし安息を求めた だけどそこには誰もいない 何時もいつも 変わりに汚い足で 僕を蹴ってくる醜い人間 どんなに助けを求めても 周りはただ笑って見ているだけで 血を吐いてヘトヘトになっても 誰も僕を助けたりはしない ただ傍らで声を上げて笑うのだ これらの下賤な人間をこの世の汚物だと そう考える自分も汚物でしかない 蹴って殴られて 頭に物を投げられて  いつからか僕は心の内に殻を作った それからの僕は何を言われても 何をされても 何も感じなかった ただ只管に日が暮れるのを待つだけで そんな僕を醜い人間達は「壊れた玩具」と呼んだ プログラムされた通りに動かない ただの玩具なのだ と だから僕は捨てられた 生ごみだらけの袋に詰められて 「面白くない玩具は即排除!」そう言って何も感じなくなって価値が0になってしまった僕は捨てられたのだ だがその時僕は「やっと解放された」と喜んだ 此れで苦しまずに死に逝ける ただ目を瞑っているだけ それだけで死に逝けるのだ ゴミ収集車の刃と刃の間に挟まれて 肉体が砕け散って 大量の血が僕の体から流れ出る 後は意識が飛ぶのを待つだけなのである この事によって自分にも 人と同等の価値が与えられるのだ。 もう少しで安息を手に入れられる。 そう考えた瞬間一気に眠気が誘った 重い瞼をゆっくりと伏せる これで・・・やっと
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