3人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「ねぇおばあちゃん、これなあに?」
「これはね、我が家にずっと昔からある、大切なものなんだよ。」
「へえ。きれいだね。」
「行ってきまーす。」
いつもの玄関。
奥から母の「行ってらっしゃーい」という声を聞いて、外に出る。
「うわっ、寒っ!」
コートを着てもなお染み込む冷気の中を、友達との待ち合わせ場所へと急ぐ。
町には、クリスマスのイルミネーションが光っていた。
「今年も結局、彼氏できなかったなぁ…」
何を隠そう、今日は12月24日。
クリスマス・イブ。
それなのに私ときたら、同じように寂しい友人達とファミレスで騒ぐという、限りなく悲しい一日を過ごしている…ずっと。
「はぁ…どこかにカッコいい人いないかな…」
なんて呟いてはみるものの、そんな都合のいい事…
最初のコメントを投稿しよう!