忘却の夢

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深い、闇を歩いている 漆黒に覆われた樹木 ひそひそと、揺れる草花 声の届かない 絶望の淵、光の影 こんな世界に生きている 心を擦り減らして 与えられた、命を台無しにしながら この世界を生きてる その意味を、見失いながら もう忘れてしまった 昨日までの出来事も、明日への希望も 今此処にある苦痛だけ残して 何処かへと、消えてしまった 涙を流す事が出来たら、どれだけ楽になれるだろう 涙は、既に枯れてしまった 心は削り取られて、骨だけが残ってる 涙が頬をつたい、この身を濡らしてくれたなら どんなにこの胸は安らぐだろう 涙は心臓を伝い 心臓は、この身体に再び命を与える ねえ 君は、空をみていた 僕は、夢をみていた 君は歌を歌った 僕は大きな声で、叫び続けた 全てを吐き出し、この喉が張り裂けてしまえばいいと 心は、器のように 想いは溢れ出し 溢れた想いは、泡のように 弾けて、空気と混ざっていく それは、詩になり、歌になっていく 歌は風に運ばれ 風は旋律となり 歌はやがて、大きなひとつの音楽になる それは丁寧に、丁寧に紡がれて 君の下へ、辿り着く それは、優しい歌 君の為願う 儚く、優しい音 それは、哀しい歌 君のこと想う 冷たい、哀しい音 ねえ 君はきっと、それを愛してくれる 僕を、記憶に変えてくれる そして僕は、新たな旅へ 真っ白な 限りない、真っ白な世界へ
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